これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです
「ぐえー、死んだンゴ」。
10月、X(旧Twitter)に投稿されたこの一言が、大きなうねりを生み出しました。これは有名なネットスラングで、どこか軽妙で、ふざけているようにも聞こえる言葉です。しかし、この投稿の主は、がんのため22歳という若さで亡くなった大学生の男性でした。おそらく、生前に予約投稿を設定し、「もし生きていたら消す」という覚悟で、彼らしい言葉を残したのでしょう。
このあまりにも切ない投稿に対し、多くの人が同じくネットスラングを交えながら追悼の意を示しました。そして、その動きは追悼だけに留まらず、がん研究への寄付という具体的なアクションへと繋がっていったんです。
報道によると、この投稿がきっかけとなり、北海道がんセンターや、がん研究会といった研究機関に、わずか2週間ほどで数千万円規模の寄付が殺到したそうです。中には、ノーベル賞を受賞した研究者の方が「基礎研究を大事にしよう」と呼びかけるなど、支援の輪はさらに広がっていきました。
ネットの「ノリ」が社会を動かす力に
インターネット、特にXって、時として人の悪意が渦巻く、ろくでもない場所になることもありますよね。でも、今回の件みたいに、一見ふざけているようなネットスラングから始まった話題が、一気にムーブメントを巻き起こして、社会的な活動に繋がるっていう、昔ながらの「ネットっぽさ」みたいなものが、まだちゃんと残ってるんだなと、なんだか嬉しくなりました。
昔の2ちゃんねるにも、電車男みたいな伝説がたくさんありましたけど、こういう「狙ってできるものじゃない」偶発的な盛り上がりが、良い方向に転がっていくのを見ると、やっぱりネットって面白いなと思います。
最近のXって、どうしてもアルゴリズムに乗っかった、ちょっと過激だったり、対立を煽るような投稿が目につきやすくなっていた気がするんです。でも、今回の投稿は、そういうのとは全く違う形で多くの人の心を動かしました。Xのアルゴリズムにうまく乗っかった結果、悲しい出来事がきっかけではあるけれど、たくさんの寄付が集まるというポジティブな結末を迎えた。これは、すごく面白い運命だなと感じます。
「釣り」と「本物」が混在するタイムラインで思うこと
ただ、この件が話題になってから、僕のタイムラインには「〇〇の妻です。夫が永眠いたしました」みたいな、亡くなったことを報告する投稿がやけに増えた気がするんですよね…。もちろん、本当に悲しい報告もあるんでしょうけど、中には注目を集めたいだけの「釣り」投稿も混ざっているのかもしれない。
そういう投稿がバズりやすくなっているとしたら、それはまた別の問題をはらんでいる気もします。何が本当で、何が嘘か分からない。そういう危うさも含めて、今のインターネットなんだなと、改めて考えさせられました。
とはいえ、今回の件は、僕の中では今年のネットニュースベスト5に間違いなく入る、すごく印象的な出来事でした。一つの投稿が人々の興味関心を引き出し、それが大きな支援の輪に繋がっていく。悪い方向に使われることも多いネットの力が、こんなにも温かい形で発揮されることもあるんだなと。こういうポジティブな連鎖が、これからも生まれてくるといいなと思います。