楽天AIの中身がDeepSeekかもしれない話


これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです


「楽天が、ついに独自AIを開発したのか!」
一瞬、そう思いました。でも、現実は、そう甘くはありません。

そもそも、なぜ「疑惑」が生まれるのか?

まず、大前提として、僕らが今使っているような大規模言語モデル(LLM)を、ゼロから独自に開発するのは、とてつもなく難しい、という現実があります。
莫大な資金と、世界トップクラスの人材が必要であり、今のところ、その開発競争をリードしているのは、アメリカと中国の2大巨頭です。

だから、多くの企業が取る戦略は、すでに公開されている無料のモデル(オープンソースモデル)をベースにして、それを自分たちの目的に合わせて改造(カスタマイズ)し、独自のサービスとして提供する、というもの。

これ、実は、ごく当たり前のやり方なんです。
僕らが使っているAndroidスマートフォンだって、元をたどればGoogleが無料で公開しているOSを、各メーカーが独自に改造して作っています。それと、全く同じこと。

今回の楽天も、おそらく、この「DeepSeek」という無料公開されているAIをベースに、日本語に特化したチューニングを施し、「楽天AI」としてリリースした、というのが事の真相でしょう。

なぜ「DeepSeek」だと、問題になるのか?

じゃあ、なぜ、それがこんなにも問題視されるのか。
そこには、2つの根深い理由があります。

  1. 地政学的なリスク: やはり、「中国製」という点に、漠然とした不安や抵抗を感じる人が多い、ということです。「楽天AIに入力した情報が、中国に流れるんじゃないか?」というセキュリティ上の懸念は、当然出てきます。(もちろんそうはならないはずですが…)
  2. DeepSeek自体の“出自”の問題: そして、もう一つ。このDeepSeekというAI自体が、その成り立ちに、少し“いわくつき”の噂があるんです。それは、ChatGPTなどの他のAIの回答を大量に学習させて作った(専門用語で「蒸留」と言います)のではないか、という疑惑。これが本当なら、倫理的にも、著作権的にも、グレーな部分がある、と言わざるを得ません。

これらの背景があるからこそ、「よりによって、なぜDeepSeekを?」という批判が、噴出してしまっているわけです。

楽天も、公式コメントでは「中身は非公開ですが、安全です」としか言えない。本当は「DeepSeekを使って何が悪いんだ!」と言いたいのかもしれませんが、今の国際情勢では、それも難しい。なんとも、歯がゆい状況ですよね。

「国産AI」という幻想と、僕らが向き合うべき未来

でも、この問題は、楽天だけの話ではありません。
AI開発の先頭集団に立てなかった以上、日本の企業は、これから、アメリカ製か、中国製のAIをベースに、サービスを構築していくしかない。これは、もう避けられない現実です。

大事なのは、「どこの国のAIか」ということだけで、思考停止しないこと。
楽天が、DeepSeekというツールを使って、僕ら日本人にとって、どんなに便利なサービスを作ってくれるのか。その「中身」こそを、僕らは冷静に評価していくべきなんじゃないでしょうか。

もちろん、セキュリティの問題は、徹底的に担保されなければなりません。
でも、「中国製だからダメだ」と、ただ感情的に拒絶するだけでは、僕らは、世界のテクノロジー競争から、どんどん取り残されていくだけです。

「国産AI」という言葉の響きは、確かに心地よい。
でも、その実現が、いかに困難であるか。

今回の楽天AIをめぐる騒動は、そんな、日本のAI開発が抱える、厳しい現実を、僕らに突きつけているような気がしてなりません。