これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです
先日のニュースで、ドル円相場が「162円」にタッチしたという話題がありました。約30数年ぶり(あるいは歴史的)な円安水準だということで、世間は大きくざわついています。
今日は、この歴史的な「円安」の背景にあるものと、私たちがこれからの時代をどう生きていくべきかについて、私なりの視点でお話ししたいと思います。
円安・円高のメリットとデメリット
為替相場というのは、円安にも円高にもそれぞれ一長一短があります。
円安の最大のメリットは、輸出産業が儲かること、そして「インバウンド(外国人観光客)」が爆発的に増えることです。海外の人から見れば、今の日本はホテル代もご飯代もめちゃくちゃ安く感じるので、「こんなに安くて素晴らしい国はない!」とたくさんお金を落としてくれます。オーバーツーリズムなどの問題はありますが、観光業で助かっている人たちがたくさんいるのは紛れもない事実です。
逆に円高のメリットは、「海外のもの(輸入品)がとにかく安く買える」ことです。
昔(1ドル70円〜80円台の時代など)、吉野家や松屋の牛丼が200円台で食べられたのは、海外から輸入する牛肉や小麦などが安く手に入ったからです。
私のような音楽を作る人間にとっても、海外の楽器やソフトウェア(ユーロ建てやドル建てで買うもの)が驚くほど安く買えたので、あの頃は「円高最高!」と思っていました。
しかし今はその逆です。日本人が口にする食べ物の多くやエネルギー(石油など)を海外からの輸入に頼っているため、円安になればなるほど物価が上がり、生活が苦しくなってしまいます。
日米の金利差だけではない、根本的な「円安要因」
なぜここまで円安が進んでいるのでしょうか。
よくニュースなどで言われる一番の理由は「日米の金利差」です。
アメリカはインフレ(物価上昇)を抑えるために金利をガンガン上げて、世の中からお金を回収しようとしています。金利が高い国の通貨(ドル)は魅力的ですから、みんなドルを買いたがります。
一方の日本は、株価は上がっているものの国民の生活(給料)はまだ十分に豊かになっていないため、簡単に金利を上げることができません。(金利を上げすぎると、住宅ローンを抱える人や中小企業が苦しくなり、経済が冷え込んでしまうからです。)
この「アメリカは金利を上げる、日本は金利を上げられない」という状況が、円を売ってドルを買う動き(円安)を加速させています。
しかし、私が思う「長期的な円安要因」は、金利差だけではありません。
もっと根本的な問題として、「日本という国が、自給自足できない(海外からモノを買い続けなければならない)構造になっている」という点があります。
「海外からモノを買う」=「円安が進む」という現実
日本は石油も取れなければ、小麦や牛肉なども海外に頼っています。(和牛や米はありますが、それだけで国全体は養えません。)
海外からモノを輸入して買う時、どうやって支払うかご存知ですか?
日本円をそのまま渡すわけにはいかないので、日本の企業は「円を売って、ドル(やユーロ)を買って」支払いをします。
これこそが、構造的な円安要因なのです。
株と同じで、みんなが「円を売ってドルを買う」行動を毎日大量に繰り返せば、当然ドルの価値が上がり、円の価値は下がります。
一方のアメリカは国土も広く、石油も自国で(あるいは影響力のある国から)調達できるように動いています。アメリカ国内で自給自足に近い経済圏が作れれば、わざわざドルを売って他国の通貨を買う必要が減ります。
つまり、「海外からモノを買い続けなければ生きていけない日本」と、「自国でなんとかできてしまうアメリカ」の構造的な違いがある限り、長期的に見て「円が売られてドルが買われる(円安が進む)」というトレンドは変わらないと思うのです。
これからの100年、私たちはどう生きるか
日銀や政府が為替介入をして、一時的に150円、140円に戻すことはあるかもしれません。しかし、今後数十年間、100年単位の長いスパンで考えた時、この「緩やかな円安トレンド」が完全に反転して、昔のような超円高時代に戻る未来は、私にはどうやっても想像できません。(日本の海底からレアアースが大量に発掘されて世界中がそれを買う、といったウルトラCでも起きない限りは難しいでしょう。)
だとすれば、私たちは「円安のまま進んでいく世界」を前提に生きていくしかありません。
昔のように気軽に海外旅行へ行くのは難しくなるかもしれません。
逆に言えば、「海外の通貨(ドルなど)を稼ぐ」ことが非常に大きな強みになる時代です。
わざわざ海外に引っ越して出稼ぎに行かなくても、今はインターネット社会です。日本にいながらにして、自分のスキルやサービスを海外に向けて発信し、外貨を稼ぐ手段はたくさんあります。
人口が減少し、円安が進む日本において、これからは「海外も視野に入れた働き方(出稼ぎ的なマインド)」を持つことが、生き残るための必須条件になっていくのだと感じています。
今日は、歴史的な円安のニュースから、長期的な日本の未来と働き方について少し熱くお話しさせていただきました。