著作権というと音楽であったり出版物であったりというのをイメージしがちです。
ですが、そのほかのものにも著作権は含まれています。
その一つが振り付けです。
今回、とても興味深いニュースがありました。フランダンスの振り付けに著作権があるかどうかです。
創作性の有無
フラダンスはあまり見たことがないですが、イメージですとみんな同じような動きをしているような感じもあります。
(勝手なイメージですみません)
ここで焦点になるのは創作性の有無です。
フラダンス振付けに「著作権」、判決読んだら色々画期的。「歌詞と動作の連動」も評価(弁護士ドットコム) – Yahoo!ニュース
今回は九州ハワイアン協会の振り付けが著作権侵害かどうかを争う裁判です。もともと契約していたハワイのカプ・キニマカ・アルクイーザさんが考えた振り付けをしていたわけですが、その契約が切れた後もその振り付けを継続して使っていたそうです。それが著作権侵害にあたるかどうか、という話になります。協会側の言い分としては「基本動作の組み合わせにすぎず、創作性はない」ということでした。
記事によると以前は社交ダンスでも同じように著作権侵害にあたるかの裁判が行われていたようで、それはアレンジが認められても「独創性が認められるほどの顕著な特徴があるとはいえない」などとして、著作権を認めなかったという判決がでているそうです。
ちなみに結論からいうと、今回のフラダンスに関しては著作権侵害となったようです。記事からそのまま引用しますと「全体として見た場合に原告の個性が表現されており、全体としての著作物性を認めるのが相当」という判決でした。今回は歌詞と動きの連動など、そういったところまで含めての判決ということで、その内容もとても興味深いものでした。
ありふれた動きと独創性
ダンスもありふれた動きは多いでしょうが、音楽にもありふれた動きは山ほどあります。
今回はそういった細かいところがどうかというわけではなく、その組み合わせやそのありふれた動作に付随するなにかを含めたトータルでの独自性があるかないかということがポイントになります。
ちなみによく何秒までなら、何小節ならOKみたいな考え方をする人もいますが、それはデマというか、誤用です。
記事内にもこうあります。
この考え方は、振付けだけではなく、たとえば『このギターフレーズはありふれているけど、このメロディにこのギターフレーズを当てるのは独自性がある』など、様々な場面にも当てはまる考え方かもしれません」(高木弁護士)
なるほど、たしかにそうかもしれませんね。
裁判官も大変
素人が似てると思うのと玄人が似てると思うのは違いますからね。前の東京オリンピックのロゴも、素人意見は似てるが多かったですが、玄人意見は違うが多かったようにも感じました。
最終的に独創性のあるなしは専門家ではなく裁判官が判断するわけです。みんながダンスに詳しいわけじゃないでしょうし、こういうの勉強して分析して判断するのだから、すごいなと思います。
今回のニュースはダンスのこととはいえ、著作権法と創作性の有無という、とてもデリケートなテーマを扱っていました。いろいろ考えさせられるニュースでしたね。