オリンピックの延期、志村けんさんの訃報、増加する感染者数と、なにかまた一層緊迫感を感じる情勢の中、町中の人についてはやはりかなり少ないような印象があります。
とはいえこちらも土日はずっと家にいたので都市部がどういう状態かわかりませんが、Abema TVでたまに流れる渋谷駅前の様子を見る限りでは、ここまで人が少ない土日はなかなか見ることができないなと思いました。たぶん信号待ちで映っていた人たちも、遊びではなく仕事の人も多いかと思います。
外出自粛ができてない?
とはいえ、自分の感覚はあくまで渋谷駅前の様子ということで、実際はどうなのでしょう。
外出自粛進む東京、でも他の大都市圏は… グーグル公表:朝日新聞デジタル
報道によれば、東京は自粛が進んでいますが、他の都市ではあまり進んでいないというものもありますね。感覚的に東京がヤバい、という報道も多く、逆に他は大丈夫、となっているところもあるかもしれません。
テレビでは外出自粛をしていない人へのインタビューもTwitterで拡散され話題になっていました。そういったところからも、あまり自粛してないのでは、という印象を持つこともあります。
外出自粛については諸外国も苦戦しているとは思いますが、ロシアがライオンを放ったというフェイクニュースに対して、政府がライオンではなく熊を放ってますというジョークで返すなど、どこも大変なんでしょう。
若者がウイルスをばらまく、高齢者がウイルスをばらまく、いろいろ言われています。テレビで若者が外を歩いているところが映れば若者がばらまいてる、高齢者が出歩いているところが映れば高齢者がばらまいている、となりがちです。
こういうところ、いかにテレビというのが影響力の高いメディアか、と改めて感じますね。
心理的な効果から外出自粛を
外出自粛を抑える方法、という記事がありました。
なかなか面白い視点です。
「バンドワゴン効果」「同調効果」 という心理効果を交えて説明されています。
バンドワゴンというのは、パレードで先頭にいる楽器隊のことを指す言葉で、その後ろを大勢の人が歩いている様子をさします。つまり、みんなでこっちに動いているからそれに合わせて動く、という意味です。
例えば行列しているラーメン屋はなんだかうまそう、食べログで評価がいいお店はなんだかうまそう、という心理と同じです。みんながいい曲だという曲はいい曲で、いいドラマだというドラマはいいドラマというのもそうです。
その最たるところは渋谷ハロウィンかなと思っています。毎年あれだけテレビで映すから、どんどん人が集まる、という形です。
ではこの効果が今回の自粛とどう絡むかというと、今はインタビューを街中でやっています。そうすると、自粛モードの中、街へ繰り出す人たちをピックアップするわけです。
テレビとしてはこんな時期に外に出るなんて、というのを訴えたい意図もあるんでしょうが、実際には「あ、他にも街に出てる人いるし、自分が出ても大丈夫なんじゃないの」という心理が働くということです。もちろん総数としては自宅にいるほうが多いのでしょうが、テレビでそういう人ばかりが映ってしまうと、都合のいいところだけ切り取って「みんなでてるじゃん」と脳内変換できてしまうわけです。
つまりそれを逆手にとって、自宅で過ごしている人にインタビューを取って、街中の様子はとにかく人がいないところをひたすらテレビで流した方が、より外出自粛を促せるのではないか、という指摘です。「街には誰もでてないのか。自分も家にいるか」となるのです。
まぁそれでも外に出ちゃう人はいると思いますけど、出ようかどうしようか迷っている層には効果ありそう。
東洋経済オンラインらしい記事で、なかなか面白い指摘です。もちろん実際に効果があるのかどうかわからないですけど。
こういうバンドワゴン効果って、日本人のいいところでもあり悪いところでもあるかなと思いますが、こういう国民性を逆手にとって自粛を進めるというのは面白いアイデアだと思います。まぁ日本のメディアはそれでも外出している人へインタビューをするほうを選ぶとは思いますけど。
違う効果がでると怖い
しかしこういったバンドワゴン効果、みんなが同じ方向に向くときにすさまじい効果を発揮するわけで、よくない方向へ動き出したら怖いなと思います。
すでにその傾向があるとすれば、差別の問題です。
地方ではコロナ患者がでた家族に対して村八分が起きているなんて話も真偽不明ですがちらほら聞こえてくるようになりましたが、東京から帰省させた家族へのバッシング的な意見も見られると聞いています。
東京から来た人を受け入れたくない、という話も聞きます。
これは同じように、中国人お断りであったり、アジア人お断りであったりと、コロナを通じて世界が排他的になっている流れはすでに感じています。
こういう問題のときは人間というのは深層心理がむき出しになるものですが、形だけは人権問題について理解度は深まっているようにも見えましたが、実際はやはり根っこは深いんだろうなと感じさせるエピソードが多いなという印象があります。
みんながそう思っているから、という理由で差別的な行為が助長されないことを願うばかりです。良くも悪くも、有事の際はいろいろな思いが同じ方向へ流れる時代です。しっかり自分をコントロールしないと、自分もまた加害者となってしまうかもしれません。