前回、なかなかの長文ブログになりましたが、世界各国の政治運営についていくつか紹介していきました。
前回はこちらです。
Twitterでもちらほらと見かけるようになった「国のリーダーを自分たちで決めるべきだ論」ではありますが、その前置きとしてまず世界各国の簡単な政治の仕組みを知り、首相と大統領がなにが違うのかを知ることは大事です。
簡単なおさらいと補足
行政、立法、司法という三権分立があります。モンテスキューが提唱したやり方ですが、この考え方を近代以降、各国どこも大切にしており、ベーシックな考え方になっています。
日本ももちろんこの三権分立でやっています。
大統領や首相というのは直接政治を行う人なので、行政にあたります。
いわゆる国会議員というのは法律などを審議し定めるする人たちですから、立法にあたるわけです。
アメリカや韓国は大統領制ですので、選挙で直接ピンポイントでリーダーを選びます。
日本やイギリスは議院内閣制といって、議員の中からリーダーを選びます。ちなみにイギリスは下院の与党の党首が自動的に首相になり、日本は国会での多数決で1番の人が首相になります。まぁ結果的にはどちらも同じような感じではありますけど、微妙なルールの違いはあるわけです。
そのため、イギリスや日本のような首相を選ぶ政治は、立法と行政が密接に関係しています。立法に参加してなおかつ影響力のある人間が行政の長になるわけです。立法と行政がセットになっているのでスムーズではありますが、立法、つまり国会議員の勢力図によって首相をやめなければならないこともしばしば。最近はあまり変わらないですが、昔は日本のリーダーがコロコロ変わるといわれていたのはこのためです。
大統領を選ぶ政治は、立法と行政が別物になっています。そのため喧嘩することもありますが、そのぶんしっかり三権分立ができているという見方もできるわけです。立法には大統領を引きずり下ろすことはできず(アメリカでは弾劾裁判はありますが)、その代わりに大統領も任期の間は堂々と政治を行うことができます。
実は知事や市長などは大統領制
日本では総理大臣は直接選挙はありませんが、知事や市長などは直接ピンポイントで人を選ぶ制度ですよね。
日本は地方自治体の首長については独任制による二元代表制をとっています。
それなりに権力がありまして、議会を解散させる権利があります。その一方、議会は不信任決議をとることができます。これはアメリカとの決定的な違いで、アメリカの大統領は議会を解散させる権力はありませんし、議会にクビにされることはありません。
そのため、首長(知事とか市長とか)と議会が真っ向から喧嘩をしても、その喧嘩が長引いて政治が止まってしまう、ということが起きないようにしているのです。けっこう市長選挙や県知事選挙があった直後は、議会と喧嘩してるイメージありますよね。
もう一つアメリカとの違いをあげるとすれば、予算建てについてです。アメリカ大統領は自分で予算について提出する権利はありません。日本の首長はそれもできます。
東京都はその人口や予算、経済などを見ても、このままどこかの国だったとしてもおかしくない規模ですよね。そういう意味でも、東京都知事は日本で一番権力がある、みたいな考え方もできます。
ただ権力があるからこそ、地方では議会が形骸化したり、首長に対して忖度したりというケースもあるようで、必ずしもうまく機能しているケースばかりではないようですね。
ただ今回のコロナ騒動については、スピーディな対応をしている地方自治体も多い印象もあり、こういった政治の仕組みが活用された部分もあるかもしれません。
余談ですが、こういった仕組みになったのは戦後からです。戦前は国から派遣された人が知事になっていました。
廃藩置県で、お殿様がいて政治をしていた仕組みを国が強制的にルールを変えて、一つの日本というものを作り上げたわけです。いったいどんな感じで行われたのか、市民にはストレスがなかったのか、昔のお殿様はストレスはなかったのか、なんかこのへんの話もぜひ調べてみたいものです。
地方自治体はやはりコンパクトなスピード感が求められますので、こういう制度のほうが結果的にもよかったんでしょうね。
日本のトップも大統領制にしたらいいんじゃない?
とはいえ、知事とかでは制度としてできてるんだから、このまま国のトップも直接選挙で大統領制にしたらいいんじゃない?という意見もでてくることでしょう。
こちらについては…
なんとこの前置きだけで長くなってしまったので、次の機会に!