コロナウイルスにより大きく揺れる世界情勢、そして中国ですが、その影に隠れながらも、これから先の世界に大きく影響を与える存在になる可能性のある動きがあります。
それがデジタル人民元の導入です。
もうすでに導入間近であるという報道があります。
デジタル人民元とは
デジタル人民元というのは、中国が発行する人民元のデジタルバージョンです。
ようするに、電子マネーってこと?
という感じですが、一部の解釈としては間違っていません。
通貨の価値は通常の人民元と同じで、中国政府が発行するデジタル人民元というわけで、いわゆる仮想通貨と違い、安定度は抜群です。
ユーザーとしても物を買うとき、電子マネーのように10元のものを買えば残高が10元減るわけで、これまでの感覚と全く同じようなものです。
そんな大騒ぎすること?
デジタル人民元の何がすごいのか
たとえば僕らもお金は持っているわけですが、自分の持っているお金をすべて札束で管理している人は少ないと思います。だいたい、多くの人はそれを銀行に預けて管理します。
みなさん毎月もらうお給料も、札束でもらう人は少なくなりました。そのため、日常的に銀行口座の数字だけで生活するようなものです。
そういった意味では、札束なしで生活できるというところで、ある意味通貨はデジタル化されていると言えるかもしれません。
ですが、それはあくまで民間銀行がそれぞれのシステムのもと、お金を管理しているだけの話です。
通貨自体がデジタル化されることにより、そういった民間銀行のシステムをすっとばして、国が直接国民のお金を管理することができます。国が作る口座が国民に与えられ、給料はそこに振り込まれ、物を買えばそこから減っていくわけです。
国としては、お金の流れをすべて把握することができるという最大のメリットがあります。極端な話ではありますが、あきらかに不正なお金の流れがあればそれを即座に見つけることができますし、犯罪者や犯罪集団のお金をいじってダメージを与えるということも可能になるかもしれません。
ドルとの通貨戦争
また、中国の狙いとしては世界でこのデジタル人民元を使ってほしいという思惑もあります。中国は一帯一路といって、新しい中国経済圏を広げつつあります。
さらには中国とやり取りする企業は多いわけですし、積極的にこのデジタル人民元を使ってもらうことにより、現在世界の通貨で覇権を握っているアメリカドルに食い込みたい狙いもあるでしょう。
今は世界中がアメリカドルで取引をするので、お金の流れや経済制裁などどうしてもアメリカが有利になってしまいます。アメリカの息がかからず貿易をするためにも、ドル一強の流れを打ち崩したいわけです。
世界初のデジタル通貨とブロックチェーン
このデジタル人民元は、中央銀行が発行する世界初のデジタル通貨ということで、大きく注目されています。
デジタル通貨に関してはFacebookも推し進めていますが、この2020年代に少しずつ話題になっていくことでしょう。
ブロックチェーンというのは、本来であれば中央一極集中にならず、分散型のメリットを最大に生かせる仕組みですので、考え方によっては中国との相性は悪そうにも思えます。
ビットコインをはじめとする仮想通貨のなにが面白かったのかというと、国が管理せずに新しい通貨を発行するという、中央一極集中ではない新しい価値の見出し方が面白かったわけです。
そんな中国は、逆にブロックチェーンに関してはかなり真剣に取り組んでおり、それをうまく生かしこういったデジタル通貨へと応用しようとしています。今の段階でデジタル人民元の細かい仕組みはまだわからず、ブロックチェーンの技術がそのまま使われるかどうかも定かではありませんが、この中国の試みが今後世界へどう広がっていくのか、ドルに対抗できるほどの通貨となるのか、個人的にも興味のある動きとなっています。