葬式に国が予算をだすの?合同葬、国葬、国民葬とはなにか


中曽根元総理の合同葬に、予備費から9600万円を出すという報道がありました。

中曽根元首相の合同葬に約1億円計上 内閣府「政府が適切に判断した」 – ライブドアニュース

予備費というのは、内閣が自由に使えるお金です。その名の通り予備のお金で、基本的に予算というのはなにかが起きることを予測した上で予算建てをします。しかし世の中にはいつ何が起きるかわからないということで、何が起きても自由に使える予算というものがあります。

今回はその予備費からそのお金を出すということで、いろんな意見がでています。

それがいいのかどうなのかはおいておき、今回はみなさんもあまり知らないであろう国葬についてのお話です。

国葬はもうやってない?

国葬というのは、国が喪主になる葬式のことです。通常葬式は遺族が喪主になり家族が主催者ですが、国が喪主になり国が主催するのが国葬です。もちろん予算は国が持ちます。

戦前は国葬令という法律がありまして、細かく国葬について決まりがありました。しかし戦後はこの国葬令がなくなります。

実は、現代の日本で国葬に関する決まりごとはありません。唯一あるのが皇室典範第25条の「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う」ということで、これが事実上の国葬ということになります。

実は1967年に吉田茂元総理の国葬が行われました。実はこれは当時の内閣が国葬と位置づけ、予算も国が出す形となっています。しかしそれ以外に民間人の国葬は行われていません。

国葬と国民葬

このあたりもきちんとした定義はありませんが、国民葬というものもあります。これは国に対して大きな貢献をした人の葬儀で、国と遺族で共同で予算を出すというもので、国葬ほどではないけど、とややマイルドなものになっています。

日本では佐藤栄作元総理の葬儀が「自民党、国民有志による国民葬」として、きちんと国民葬として行っています。

内閣・自由民主党合同葬

今回の中曽根元総理の葬儀は「内閣・自由民主党合同葬」として行われます。近年は総理大臣経験者の葬儀はこの方式を取ることが多いのです。

実は国葬や国民葬については、今後日本では行われないかもしれません。というのも、お葬式というのは宗教色が濃いイベントになります。日本の憲法では政教分離といって、「国およびその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と定められています。できるだけ宗教色をなくした葬式をやろうにも、完全な政教分離はなかなか難しいものです。

なので、「内閣・自由民主党合同葬」くらいにしておくのが、ギリギリのラインなのかなというところなのかもしれませんね。