ドン・キホーテの前社長が逮捕されました。
理由は株に関する不正ということです。
株にまつわる件で逮捕されるというケースはまれにありますが、実はこのドン・キホーテの件は非常に珍しいケースのようで、ちょっと解説してみようと思います。
専門用語も多いので、用語解説も交えていきましょう!
ドンキ前社長が逮捕
このドンキの件については、先日から問題になっていました。
ニュース読みでも触れたこともありますが、自分もその配信をしているときにはじめて知ったニュースです。
逮捕された理由は、株にまつわる不正です。
実は2年前に、スーパーやコンビニ大手でもあるユニー・ファミリーマートホールディングスがドン・キホーテをTOBするという出来事がありました。(ちなみにこの買収劇は失敗に終わっています)
TOBというのは株式公開買い付けを意味する言葉です。
一般的に株は日々値段が上がったり下がったりして、その値段は一定ではありません。市場で株を買おうとすると、一定ではない金額でちまちま買うことになります。
TOBは、決められた金額、期間で、市場外で株を一気に買いあさる方法です。
そのため、市場価格よりちょっと高めのお値段が付くことがあるわけです。
でもそんなことすると、市場で買うより買う方は出費が増えます。なんでそんなことするかというと、その会社の実権を握るほど大量の株を買うためです。
今回は珍しいケース
TOBは突然いきなり仕掛けられるケースもありますが、友好的な買収もよくあります。ドンキの例でも、この買収はドンキ側が提案したものです。別にファミマがドンキをつぶそうと仕掛けたわけではありません。
もちろん関係者はいつTOBがあるか知っているわけですが、TOBは株を売る側にもメリットがないといけません。市場で売るよりいい値段で売れるのだから、成り立つわけです。
逆にいえば、そのあと株価が上がることにつながる可能性も高まります。
そのため、TOBされる前に株を買っておけば、儲けることが可能ということです。
それめっちゃいいじゃん!って感じではありますが、残念ながらこれがまかり通るとなんでもできてしまうので、もちろん禁止行為です。
インサイダー取引ともいいますね。
今回の事例ですが、記事によればこういったやりとりが行われたようです。
大原容疑者はドンキ社長だった同年8月頃には、TOB実施やドンキ側によるユニーの完全子会社化を知っていたのに、その公表前に複数回、知人にドンキ株の購入を勧めたといわれています。その知人は8月中旬の会食で、大原容疑者から「うちの株、ちょっと安いですよ」と言われ、その後に電話でも株購入を勧められたといいます。
https://toyokeizai.net/articles/-/393477?page=2
具体的な情報はいわず、「うちの株が安い」という情報を伝え、株購入を勧めたということです。TOBあるよ、っていったらモロにインサイダー取引ですが、これだけでも罪になるのでしょうか。
知人を儲けさせる意図があったかどうかというところがポイントですが、今回は「取引推奨」ということで逮捕となりました。
この取引推奨は2014年の法改正で導入された禁止行為で、今回の取引推奨のみで逮捕されたのは初の事例のようですね。
ちなみに買った人は逮捕されるのでしょうか。
インサイダー取引って、どちらかというと買った人が情報を知って買って儲けたから逮捕というイメージありますよね。
実は今回の場合は、買った人は重要事実を知らないのであれば処罰されないものということで、罪にならない可能性も高いようです。まぁ、これで罪になったら、それはそれで罠ですよね。
なかなか興味深く、珍しい今回の一件。今後、裁判などでも話題になるかもしれません。