Jリーグの在り方については、以前から多くの議論が行われています。
今回も、Jリーグのプレミア化というのが記事になり、大きな話題となりました。
Jリーグ、プレミア化 最上位リーグ新設、外国人枠撤廃など検討「推進チーム」たち上げ(スポーツ報知) – Yahoo!ニュース
Jリーグとアジア
日本で有名なスポーツに野球がありますが、プロ野球とJリーグは根本的に成り立ちも考え方もお金の流れも大きく異なります。
同じところがないんじゃないかというくらい、面白いくらいにすべてが逆です。
どちらがいいという話ではなく、JリーグはJリーグらしい理念があり、それはとてもいいなと思っています。
アジア各国でもサッカー人気が高まっている今、国内だけではなくアジア全体を視野に入れるようになってきています。
Jリーグがアジア圏で放映されることもそうですが、提携国の選手を外国人枠としてカウントしないとルール変更をすることで、アジア圏のスターが日本で活躍することにより、より注目を集めたいという思惑もあります。
しかしチャナティップ選手やティーラトン選手のような例もありつつも、そういった制度がありながら思ったよりも提携国の選手がでてこないなぁ、というところもあるのかもしれません。
個人的には現在のような各地域に根差したクラブチーム運営はキープしつつ、これからぐんぐん経済的な成長が見込まれるアジア各国の選手が日本を経由してヨーロッパで活躍するような、アジアを狙った戦略がいいんじゃないかなと思っています。
まぁ、ヨーロッパの下みたいになるのが嫌だという考え方も、わからなくはないですけども。
Jリーグのプレミア化
プレミア化というのは、イギリスのプレミアリーグのことを指す言葉です。Jリーグにプレミアム感を持たせるとか、そういう意味ではありません。
イギリスはサッカー発祥の地です。さぞかしプレミアリーグの歴史は長いんだろうと思う人もいるかもしれませんが、プレミアリーグが発足したのは90年代初頭です。意外と最近なんですよね。
イギリスにはもともとプロサッカーリーグがあったんですが、そこに所属しているチームが抜けて新しく作ったリーグがプレミアリーグです。強豪チームがこっそりと裏で下地を整えながら、他のチームを誘って作りました。
当時のイギリスはサッカーは意外にも、他のヨーロッパ諸国に比べると低迷していました。その理由は、やはりお金です。
なぜプレミアリーグを作ったかというと、お金がちゃんと稼げるような仕組みにするためです。お金というのはもう少し具体的にいうと、テレビの放映権です。莫大な放映権料を、ちゃんと人気のあるチームがもらえるような仕組みにする、ということです。
Jリーグとほぼ同時期に発足したプレミアリーグですが、Jリーグはこの方式を採用しませんでした。プロ野球はこの方式を採用しています。どちらがいいか、考え方次第です。
しかし、実際にヨーロッパのサッカーを見てみると、強いところはものすごく稼いでいますが、弱いチームは経営的に厳しいチームもあるんですよね。
DAZNの参入により優勝賞金も上がりましたし、まぁ今はネットの時代だし、この放映権絡みは現在のようなシステムのほうがいいんじゃないのかなと思っています。
外国人枠の考え方
それとプレミアリーグ化での重要なポイントは、外国人枠についての考え方です。
Jリーグのプレミア化を議論する上で、この外国人枠の撤廃が重要な議題の一つです。
実際Jリーグは、外国人枠が増えました。クラブチームとしては、チーム強化のために一番手っ取り早い方法が、助っ人外国人に頼ることです。
外国人枠を撤廃したら、お金に余裕のあるチームは、さらに多くの外国人を獲得することになります。
スタメン全員がブラジル人というチームも出てくることでしょう。それがいいのか、悪いのか、という話になると、正直難しいです。
ヨーロッパで活躍した選手がJリーグに来てもらうことはプラスですからね。ジーコ、イニエスタと、昔も今も世界のスーパースターを間近で見ることができるというのはすごいことです。
ただあまりにも外国人選手ばかりになると、日本人選手が試合に出られなくなり、代表の力が弱まるのではないか、という懸念もあります。リーグはこんなに有名なのに、この国は意外と代表は弱いんだよな、みたいな感じになる国もありますからね。
あとは気持ち的なところもありますが、これもまた難しい問題です。一般的にある意見として、自分の応援しているクラブチームが全員外国人になっても、それを自分たちのチームだと思えるのかどうか、ということです。
しかし自分自身はマリノスに所属している外国人選手を普通に応援していますし、ぶっちゃけスタメン11人全員が外国人になってもその気持ちは変わらないような気がしています。
もう少し狭義で考えると、マリノスの選手が必ずしもみんな神奈川県出身ってわけじゃないじゃないですか。でもそこはあまり議題には上がりません。
スポーツに限らずですが、これから日本はたくさんの外国人に日本に来てもらって、日本で暮らしてもらって、日本で働いてもらわないと、日本という国を存続することができなくなります。これはもう決まっていることです。
ナショナリズム的な観点だと、排他的思考が生まれるのは当然のことでもあります。しかし、サッカーに限らず外国人枠、という考え方は今後緩やかになくなっていく流れになっていくと思われます。
いろいろな考え方が許容される世の中
今後の日本社会やサッカーのことを考えると、いろいろな考え方があっていいと思っています。
例えば超お金持ちのチームが、世界のスターをかき集めるようなことしてもいいと思います。逆に絶対に日本人しか獲得しない、さらにはこの地域出身者しかチームにいれないというこだわりを持つチームもあっていいと思います。
前にもブログで紹介しましたが、バスク地方出身者だけで作るアスレティック・ビルバオや、在日朝鮮人だけで作る(現在はそのルールないみたいです)FCコリアのようなチームも、世界中に数あるクラブチームの選択肢としてアリだと思うんですよね。
多様性というのは、いろいろな考え方ができるためのルールがまずあり、その考え方をそれぞれが許容しあえる環境の二つが必要です。
今後は緩やかに世の中も多様性へ向かっていくのであれば、Jリーグはそれに先駆けて外国人枠は撤廃してもいいのかなと思うようになりました。まぁこの議論を100年前にイタリアでもやっているわけで、そういう意味でもヨーロッパのサッカーは歴史が長いですね。
Jリーグのプレミア化、どうなるのでしょうか。Jリーグは昔からこういった議論をよくやっているのがいいですね。時代に即した形でJリーグが発展していくのであればなによりです。