これはスタエフ配信の文字起こしをブログ化したものです。
デジタル時代の到来により、私たちのコンテンツ消費の形は大きく変わりました。しかし、最近の橋本環奈さんの電子書籍消失事件は、デジタルコンテンツの脆弱性を改めて浮き彫りにしました。本記事では、この事件を切り口に、電子書籍と紙の本それぞれの特徴、デジタルコンテンツの所有権の問題、そしてNFTという新技術がもたらす可能性について探ります。
橋本環奈さんの電子書籍消失事件から考える所有権の問題
橋本環奈さんが自身の電子書籍が全て消失したことをSNSで報告し、話題となりました。この出来事は、多くの人々にデジタルコンテンツの脆弱性を再認識させる機会となりました。
電子書籍は便利な反面、実際には「所有」ではなく「レンタル」に近い形態であることが明らかになりました。例えば、Amazonで購入した電子書籍も、理論上はAmazonのアカウントが凍結されれば、アクセスできなくなる可能性があります。これは、トランプ元大統領のSNSアカウント凍結事件を想起させる問題でもあります。
同様の問題は音楽や映像コンテンツにも存在します。アーティストの不祥事や契約の問題で、突如としてストリーミングサービスから楽曲が削除されるケースもあります。実際に、安室奈美恵さんの楽曲がサブスクリプションサービスから消失し、CD販売が急増した事例もありました。
これらの事例は、デジタルコンテンツの「所有」が実は非常に脆弱なものであることを示しています。一方で、紙の本やCDなどの物理メディアは、一度手元に置けば、よほどのことがない限り回収されることはありません。
物理メディアvs電子メディア
物理メディアと電子メディアには、それぞれ長所と短所があります。
物理メディアの長所：
- 真の意味での「所有」が可能
- インターネット接続や特定のアカウントに依存しない
- 長期保存が可能（適切に管理すれば）
物理メディアの短所：
- 保管スペースが必要
- 移動や持ち運びが不便
- 災害や事故で失う可能性がある
電子メディアの長所：
- 場所を取らず、大量のコンテンツを保存可能
- 検索や管理が容易
- デバイスさえあれば、どこでもアクセス可能
電子メディアの短所：
- サービス提供者の都合で利用できなくなる可能性がある
- アカウント管理が必要
- デバイスやインターネット接続に依存する
興味深いのは、災害時のデータ保護についてです。物理メディアは津波や火災で失われる可能性がありますが、電子メディアは適切にバックアップされていれば、新しいデバイスで復元できる可能性があります。
NFTが切り拓く新たなコンテンツ所有の形
物理メディアと電子メディア、それぞれの長所を活かし短所を補完する新たな可能性として、NFT（Non-Fungible Token）が注目されています。NFTは、デジタルコンテンツに唯一無二の所有権を付与する技術です。
NFTを活用した新しいコンテンツ所有の形として、以下のようなアイデアが提案されています：
- 物理メディアとデジタルデータをNFTで紐づける
例：CDを購入すると、そのアルバムのデジタルデータにアクセスできるNFTが付与される - NFT付きの書籍やマンガ
紙の本を購入すると、電子版へのアクセス権がNFTとして付与される - NFTチェキ
物理的なチェキと、そのデジタルデータをNFTで結びつける。NFT所有者は、デジタルデータをプリントアウトすることも可能
これらのアイデアは、物理的な所有感とデジタルの利便性を両立させ、かつ真の意味での「所有」を実現する可能性を秘めています。
橋本環奈さんの電子書籍消失事件は、デジタル時代のコンテンツ所有のあり方に一石を投じました。物理メディアと電子メディア、それぞれに長所と短所がある中で、NFTという新技術がこの問題に新たな解決策をもたらす可能性があります。
確かに、NFTを活用したコンテンツ所有の形は、まだ多くの人にとって馴染みがなく、理解しづらい面もあるでしょう。しかし、これは未来のエンターテインメントの形を模索する重要な試みです。
今後10年、20年、30年先を見据えたとき、現在の試行錯誤が実を結び、より良いコンテンツ体験と確実な所有権の両立が実現する可能性があります。技術の進化とともに、私たちのコンテンツとの関わり方も進化していくのです。NFTチェキのような新しい試みに触れることで、未来のエンターテインメントの形を体感し、その可能性を探ることができるでしょう。
デジタルとフィジカル、所有と利用、これらの境界線が曖昧になっていく中で、私たちは新しいコンテンツ体験の形を模索し続けています。そして、その探求の先に、より豊かで安全なコンテンツ消費の未来が待っているのかもしれません。