790億円相当のビットコインを探す男性、自治体を提訴!デジタル時代の埋蔵金騒動


これはスタエフの配信をブログ化したものです。

巨額のビットコインを含むハードディスクの紛失

イギリス人の39歳の男性が、2013年に8000ビットコインを含むハードディスクを誤って捨ててしまいました。当時は1億5000万円相当だったこのビットコインの価値は、現在の価格で約790億5000万円にまで膨れ上がっています。この男性は2009年頃からビットコインのマイニング(採掘)に参加しており、その報酬として得たビットコインがハードディスクに保存されていました。

ビットコインはブロックチェーン技術によって管理されており、実際にはハードディスクに「保存」されているわけではありません。おそらく、ハードディスクには秘密鍵やウォレット情報が保存されていたと考えられます。これらの情報がなければ、ビットコインにアクセスすることは不可能です。

10年に及ぶ探索と自治体との対立

この男性は10年間にわたり、捨ててしまったハードディスクを探し続けています。ハードディスクが埋められている埋立地までは特定できているものの、具体的な位置を突き止めることができていません。そこで、ハードディスクの回収のために、埋立地を管理する地方自治体に協力を要請しています。

しかし、自治体側は環境への懸念から、大規模な発掘作業を許可していません。発掘には18から36ヶ月かかり、さらに1年間の復旧作業が必要だと見積もられています。男性は見つかった場合、ビットコインの10%(約80億円)を自治体に提供すると申し出ていますが、自治体は依然として拒否の姿勢を崩していません。

自己責任の世界と現実的な課題

この事例は、仮想通貨や Web3の世界における「自己責任」の重要性を浮き彫りにしています。通常の銀行口座やオンラインサービスとは異なり、仮想通貨の秘密鍵をなくしてしまうと、どんな専門家でも復旧することはできません。これは、中央管理者が存在しないブロックチェーンシステムの特性によるものです。

一方で、この男性の要求に応じることは自治体にとって現実的ではありません。膨大な量のゴミの中から小さなハードディスクを見つけ出すことは極めて困難であり、環境への影響も無視できません。また、成功の保証もない作業に多大なリソースを投入することは、公共の利益の観点からも正当化しづらいでしょう。

この事例は、デジタル資産の管理の重要性と、それが失われた際の困難さを如実に示しています。同時に、個人の利益と公共の利益のバランス、環境保護の重要性など、現代社会が直面する様々な課題も浮き彫りにしています。