これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです。
またまたAmazonの話題です。Amazonが、クレジットカードに代わる新しい決済手段として、**「独自デジタル通貨」**の発行を検討しているというニュースが飛び込んできました。
これが実現すると、私たちの買い物やお金のあり方が大きく変わるかもしれません。その可能性を、分かりやすく解説します。
■「Amazonコイン」はSuicaや楽天キャッシュと何が違う?
報道によると、Amazonが検討しているのは「ステーブルコイン」と呼ばれる、価格が安定した暗号資産(仮想通貨)です。
まずは、皆さんが普段使っているSuicaや楽天キャッシュをイメージしてみてください。これらは事前にお金をチャージして、その範囲内で買い物ができる電子マネーですよね。Amazonがやろうとしているのは、これと似た仕組みを、より進んだ**「仮想通貨」の技術を使って作る**、というイメージです。
では、なぜわざわざ仮想通貨の技術を使うのでしょうか?そこには、既存の電子マネーにはない、大きなメリットがあるからです。
■ 最大のメリットは「どこでも使える」ようになる可能性
これが、Amazonが独自通貨を目指す最大の理由かもしれません。
考えてみてください。楽天キャッシュは、基本的に楽天のサービスでしか使えません。Suicaも、対応する決済端末が置いてあるお店でしか使えませんよね。これには「発行した会社の経済圏でしか使えない」という縛りがあります。
しかし、Amazonのデジタル通貨が仮想通貨の仕組みで作られると、話は大きく変わります。ブロックチェーンという技術を使うことで、Amazonと全く関係のない個人のお店でも、驚くほど簡単に決済手段として導入できるようになるのです。
これが実現すれば、Amazonの経済圏(Amazonコインが使える場所)は、誰かが頑張って営業しなくても、自然と世界中に広がっていくことになります。
■ お店側にも嬉しい「3つのメリット」
この仕組みは、Amazonだけでなく、決済を導入するお店側にも大きなメリットをもたらします。
- 手数料が安いクレジットカード決済では、お店側が売上の数パーセントという決して安くない手数料を負担しています。仮想通貨決済なら、この手数料を大幅に抑えることが可能です。
- 入金が速いクレジットカードの売上金は、お店の口座に入金されるまで1ヶ月〜2ヶ月かかることもあります。仮想通貨ならほぼ即時に入金されるため、お店の資金繰りが非常に楽になります。
- 「審査」や「停止リスク」からの解放お店がウェブサイトに決済を導入するには、楽天ペイなど決済代行会社の審査が必要です。また、過去にはクレジットカード会社(VisaやMastercardなど)の意向で、ある日突然サービスへの決済が止められてしまう、という騒動もありました。仮想通貨なら、そうした中央集権的な組織の許可や審査なしに、自由に導入できる可能性があります。
■ 課題と未来の展望
もちろん、いいことばかりではありません。現状の仮想通貨は、不正利用された場合にクレジットカードのような補償がなく、盗まれたお金が戻ってこないという大きな課題があります。セキュリティと利用者保護のバランスは、今後の大きな論点になるでしょう。
実はこのような動きは、過去にFacebook(現Meta)が「リブラ」という構想で挑戦しましたが、時代が早すぎて各国の規制当局に潰されてしまった経緯があります。しかし、あれから時を経て、いよいよ時代が追いついてきたと言えるのかもしれません。
日本では法律の壁があり、楽天やPayPayといった巨大IT企業が同じことをすぐに始めるのは難しい状況です。しかし、海外で成功事例が生まれれば、日本でも法改正が進み、この流れが一気に加速する可能性があります。
Amazonがいつ、本当にこの計画を実行するのかはまだ分かりません。しかしこのニュースは、「お金の未来」がどうなっていくかを考える上で、非常に重要な動きと言えるでしょう。