AIに看取られる日


これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです


「2035年、AIが人間を看取るようになる」。そんな衝撃的な未来を予測した書籍『AIに看取られる日』が、今、静かな議論を呼んでいます。

人の最期にAIが介入することに対し、「冒涜だ」と嫌悪感を示す人もいれば、「当たり前のことだ」と受け入れる人もいるでしょう。しかし、これは単なるSFの話ではなく、私たちがこれから直面する、極めて現実的なテーマなのです。

少子高齢化社会が求める、新しい「介護」の形

少子高齢化が加速し、独居老人が増え続ける現代において、介護の現場は深刻な人手不足に陥っています。その中で、AIやロボットが人間の作業を代替していくのは、もはや避けられない流れです。

食事の管理、服薬、夜間の見守りといった日常的な介護業務を、AI搭載のロボットが人間よりも正確に、そして効率的にこなす。それは、介護される側にとっても、する側にとっても、大きなメリットをもたらします。

例えば、排泄の処理。人間にやってもらうのは、どうしても気恥ずかしさや申し訳なさが伴います。しかし、相手がロボットであれば、その心理的なハードルは大きく下がるのではないでしょうか。

感情を「読み取る」AIと、人間にしかできないこと

さらに、AIは単なる作業の代替にとどまりません。最新のAIは、声のトーンや表情、体の微細な動きから、その人の精神状態を読み取り、適切なタイミングで声がけをしたり、孤独感を和らげるための会話相手になったりすることも可能です。

もちろん、AIが人間の感情を真に「理解」することはできないでしょう。しかし、人間の目では見逃してしまうような些細な変化をデータとして捉え、客観的に状態を把握するという点においては、むしろ人間よりも正確かもしれません。

重要なのは、「人間にしかできないこと」に、人間が集中できるようになる、ということです。AIが日常的な業務を肩代わりしてくれることで、介護者は、患者さんの感情に寄り添ったり、人生の最期を穏やかに見送ったりといった、より人間らしいケアに時間と心の余裕を割くことができるようになるのです。

最初に「AI介護」を体験する、私たちの世代

「AIに介護されたくない」と、今の私たちは思うかもしれません。しかし、その価値観も、30年後、40年後には大きく変わっているはずです。

おそらく、私たち今の現役世代こそが、本格的な「AI介護」を体験する最初の世代になるでしょう。その時、私たちはAIの力を柔軟に受け入れ、より豊かな老後を過ごすという選択ができるでしょうか。

AIに看取られる。それは、寂しいことかもしれません。しかし、誰にも気づかれず、一人で孤独に朽ち果てていくよりは、よっぽど人間らしい最期なのではないか。僕は、そう思うのです。