これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです
「ソフトウェア業界の倒産件数が、過去10年で最多ペース」
こんな、ちょっと信じがたいニュースが、今、話題になっています。
空前のITブームと言われるこのご時世に、なぜ?
記事によると、その原因は、大手からの再委託に依存する下請け構造や、開発に時間がかかるパッケージソフトの固定費が経営を圧迫している、といったことにあるそうです。
でも、僕はこのニュースを読んで、直感的にこう思いました。
この記事では語られていない、もっと根本的な理由があるんじゃないか。そして、その犯人は、間違いなく「AI」だ、と。
プロトタイプ開発は、もうAIの仕事になった
僕がなぜそう思うのか。
その理由は、僕自身の仕事のやり方が、AIによって、ここ1、2年で劇的に変わったからです。
例えば、何か新しい企画を立ち上げる時。
昔は、まず「プロトタイプ(試作品)」を作る必要がありました。そのために、外部の開発会社にお金を払って、簡単なアプリやサイトを作ってもらう。そこから、色々とアイデアを膨らませていく、というのが当たり前の流れでした。
でも、今はどうでしょう。
プロトタイプの開発なんて、もう100%、AIにやらせればいいんです。
世に出すものではないから、バグがあってもいい。デザインがダサくてもいい。そんな「とりあえず動くもの」を作るのに、もう人間がお金を払う必要なんてない。この流れによって、プロトタイプ開発を請け負っていた多くの中小企業が、仕事を失っているんじゃないでしょうか。
音楽業界で起きている、全く同じ現実
この話、僕自身の音楽業界でも、全く同じことが起きています。
昔、コンペ(楽曲コンペティション)に出す曲を作る時、僕らは「仮歌」を録音する必要がありました。
仮歌シンガーを雇い、レコーディングスタジオを予約し、エンジニアにお願いして、ピッチを修正してもらう…。これだけで、結構な金額がかかります。そして、もしコンペに落ちたら、その費用は、全て作曲家の自腹。本当にリスキーな世界でした。
でも、今はどうですか?
僕もそうですが、今や、仮歌なんて全部AIですよ。
自分で作った曲を、AIに歌わせる。それなら、コストはゼロ。コンペに落ちても、作曲家が費やした労力が無駄になるだけで、金銭的なダメージはありません。
昔は、クオリティを上げるために、コンペ用のデモ音源のギターやドラムを、プロの演奏家に外注することもあった。でも、その仕事も、今やAIに奪われつつあります。
仮歌シンガーや、デモ音源専門のミュージシャンという仕事が、今、急速になくなっている。
それと全く同じことが、ソフトウェア業界で起きている。僕は、そう確信しています。
「AIでいいじゃん」という、抗えない時代の波
税金の確定申告アプリなんかも、そうですよね。
僕の友人には、もう税理士に頼らず、レシートを全部AIに読み込ませて、確定申告を全部やってもらった、なんて人もいます。
特定の目的のために作られたパッケージソフトよりも、汎用性の高いAIの方が、便利で、安く済む。
多くの人が、そう気づき始めています。
もちろん、これはAIだけの話ではないかもしれません。コロナ禍の影響も、まだ残っているでしょう。
でも、この「ソフトウェア業界の倒産急増」という現象の裏側には、間違いなく、AIによる、静かで、しかし、抗うことのできない、大きな地殻変動がある。
AIを使いこなせる人間や企業が、仕事を総取りしていく。
AIに「誰でもできる仕事」を任せ、自分たちは、もっとクリエイティブなことに時間を使う。
これは、良い悪いという話じゃない。ただ、そういう時代になった、ということです。
この大きな変化の波を、僕らは、どう乗りこなしていくべきなのか。改めて、考えさせられるニュースでした。