NHKが平成ネット史という興味深い企画を始めたみたいで、早速フォローしています。来年放送のようで、どんな内容のものなのかとても楽しみです。
戦後の音楽に影響を与えた2つのテクノロジー
今年、2018年はMP3プレイヤーが登場してから20年の節目になります。
ポータブルプレーヤーの歴史については京都での授業でもかなりガッツリとやるところです。というのも、ポータブルプレーヤーの歴史はカセットテープ、CD、MP3といった音楽メディアの歴史でもあり、それを時代別に追うことでライフスタイル、そして音楽業界の変化と、多くの視点で物事を分析することができるのです。
ポータブルプレーヤーが世間に認知されたのは、1979年のSONYが発売したウォークマンです。そこから40年、人々の暮らしの中で、音楽がより近くに存在するようになりました。今では声であの曲が聞きたいといえば再生される世の中です。
そして、音楽の世界にもう一つの衝撃があるとするのであれば、それはMP3であるといっても過言ではありません。
平成のネットの歴史はMP3とともに
MP3の歴史は長く、1993年に確立されたデータ圧縮方法です。これまでは1曲あたり30メガほど必要な音楽データも、3メガ、4メガくらいに収めることができるという技術です。昔は今のようにネット速度も早くないですし、そもそも今みたいにハードディスク容量があるわけではありません。パソコンに音楽データを山程いれるなんて、それこそ夢の世界です。
MP3の登場とともに、音楽データをネット経由で送受信できるということ、そして音楽データを自分のパソコンに保存することができるということ、この2つを可能にしました。
これは衝撃的なことです。
これまではレコード、カセット、CDといった具合に、音楽はなにかのモノに入れなければならない存在でしたが、この瞬間から形のないナニカへと変わったわけです。
この変化は、そんなに簡単に順応できるものではありません。コピーコントロールCDなんてのも、この時代の歪みから生まれたようなものです。
違法コピーの問題、ネットによる音楽配信サービスの開始、現在は毎月定額での、ストリーミングによるサブスクリプション型音楽配信サービスもあります。音楽業界の構造にも変化を与えるものです。
それと同時に、社会はインターネットの常時接続、高速化がインフラとして整備され、2000年台後半からはスマホ、SNSが台頭します。音楽を取り巻く状況は加速度的に変化していきます。
自分自身の音楽活動でも、以前は無料配布CDなどやってましたが、今ではYouTubeなどでの視聴が当たり前になっています。良くも悪くも、この過渡期を自分の音楽活動の中でリアルタイムに感じてきました。音楽に興味を持ち始めたときは、カセットテープやMDで自分オリジナルのプレイリストを作って聞いてましたしね。
音と情報
今年はMP3プレイヤーの20周年ということもあって、今年の授業では「音と情報」という新しい項目を設けて、MP3のもう少し専門的な話から、違法コピーの話、考え方の変化、そのあたりを少し掘り下げて取り上げていきたいなと思っています。
若い子たちは物心ついたときからMP3があったわけで、逆に昔をイメージするほうが難しいかもしれませんね。そのあたりも含めて、一緒に考えていけたらいいなと思います。