QUESTION
オマージュとパクリの違いってなんですか?
こちら後編になります。
前編では、この世界はリスペクトの重なりで成り立っているというお話をしました。
ここから本題の、オマージュとパクリ、そしてパロディについて考えていきましょう。
しかしこれはとても説明するのが難しいですね。
パロディとは
なにかの作品を引き合いに出すのは恐縮ではありますが、あまりにもわかりにくいので出します。
最近見たパロディをうまく使っている作品は、パッと出てくるのが『ポプテピピック』です。
これは素晴らしい作品でしたね。
有名なアニメやゲームから、なかなか使いにくいディズニーまで取り入れる作品でした。
例えばミッキーがネズミでどうこうというやりとりはおそらく視聴者のみなさんが分かったことだと思います。
ですが、ドラクエやマリオカートのパロディですと、そのゲームをやっていた人ではないと「?」となったかもしれません。
パロディというのは、元ネタを知っているからこそ楽しめるというのが特徴です。そして元ネタへのリスペクトがしっかりあるからこそ、見ていて楽しい気持ちになれます。
オマージュとは
ここでもなにかの作品を引き合いにだすのは恐縮ではありますが、これもあえて出します。
最近見たオマージュをうまく使っている作品は、『ラ・ラ・ランド』です。
しかし、実は彩雨さんは『ラ・ラ・ランド』のオマージュにはまったく気づきませんでした。
というのも、演劇やミュージカルについての見識があまりないからです。
前にそういった演劇やミュージカルをやっている友人とこの『ラ・ラ・ランド』の話になったときに、そんな仕掛けがあったのか、とびっくりしました。
その友人は映画の途中から、このオマージュの積み重ねでその後の展開まで予測できたそうです。
自分自身はなにも知らずとも、『ラ・ラ・ランド』を楽しく見ることができましたが、知っているとより味わい深く作品を楽しむことができる、これがオマージュです。
言うまでもなく、元ネタのリスペクトにあふれています。
パクリとは
ここで何かの作品を引き合いに出すのは…あまりにもやばいので、さすがに出せませんね。
トークイベントだったら出すかもしれませんが…
さすがにあの作品はパクリだ!と書くわけにはいきません。
ただ、完全にパクってるじゃん、って思う作品もいくつかあります。
オマージュやパロディと違って、パクリにはリスペクトがありません。
そのリスペクトのあるなしをどう判断するのかというのは難しいんですけど、なんていうか、伝わってきます。
ただ気づかなければ気づかないでしょう。
権利問題がややこしくさせている
さて、ここで問題になってくるのが権利問題です。
パクリは権利問題としてNGなのはいいとして、じゃあパロディやオマージュは権利問題はOKなのかとか、制作者の許諾はとってるのかとか、そういう話になっていきます。
オマージュされて、そのリスペクトのあるなしはお前が決めるのか、制作者は本当にそう思うのか、とか、そういう話になっていきます。
それはごもっともな意見で、まさにその通りなのです。しかしながら、この議論ほどナンセンスな問題はありません。
その根っこにあるのがエンターテイメントの商業化です。
また、パクリの作品が増えてしまっている(増えてしまっているように思える)のも、こういったエンターテイメントがこの100年、200年くらいで商業主義が進んだからな気がします。
エンターテイメントの大量生産、大量消費社会の、ある種の歪みのように感じますね。
コンピュータとインターネットの進化によって、このあたりのスピードがやや加速しているようにも感じます。
音楽をはじめ、エンターテイメントのあり方は次の100年、200年で再び転換期を迎えるかもしません。
しかし、その中でも今でもリスペクトにあふれた素晴らしいパロディやオマージュの作品が登場していますし、それぞれがそれぞれに影響を与えながら、新しいジャンルも登場しています。
まだまだエンターテイメントの未来は明るいのです。