エンターテイメントの楽しみ方はここ30年くらいで大きく変わりました。
前にも同じような話をトークイベントでしたことがありますが、三段階で変わってきています。
昔はみんなが同じ作品を楽しむような、トップダウン型のエンターテイメントです。情報源はテレビや雑誌がメインなので、一つの作品に注目が集まることが多かったわけです。その結果、今では考えられないような収益がひとつの作品に集まることもしばしば。音楽でも世の中みんなが同じ曲を聞くような感じですね。
その後、ネットの登場により情報源が多様化し、それに合わせて作品も多様化し、好みも多様化するようになります。音楽でいえば、みんな電車の中ではイヤホンをして音楽を聴いていますけど、聴いている音楽はみんなバラバラになってきている、という感じです。
参加型のエンターテイメント
そして現在は、参加型のエンターテイメントが主流になりつつあります。
現在はテレビよりもYouTubeの番組を見る人が増えていますが、それらもあくまで一般の人が一般の人にできる範囲で投稿している動画を見るわけですし、自分自身も発信しながら楽しむスタイルが定着しています。TikToKなんてまさにその最たるところです。
Facebookやインスタグラムに日常を投稿するのも同じような感じで、それらをエンターテイメントと位置付けることに関しては置いておいても、何か与えられた情報をただ見るだけではなく、見ながら自分も投稿するという楽しみ方が定着したということですね。
電車でも一生懸命スマホの画面を見つめている人も、ちゃんと統計がないのでわかりませんが、知人の投稿を見たり自分についたコメントを読んだりしている人も多いような印象があります。
こういった参加型というのがひとつのキーワードになっているように思えます。
お金を出して手伝うとは
オンラインサロンなんかでよく話題になることですが、そういったサロンのイベントでボランティアスタッフを募集するとき、サロンメンバーが参加することになるわけです。
このメンバーはお金を出してオンラインサロンに入っているわけで、お金を払い手伝うという不思議な現象が起きているわけです。
ここがたまに批判されるポイントになるわけですが、これもまた今の時代ならではの参加型の体験なんだとも思います。
自分の場合は音楽の中の人なので音楽じゃないところで例えるならば、素晴らしい映画を見る体験よりも、素晴らしい映画を作る手伝いをしてその映画を見る体験のほうに注目が集まっているということなのかなと思います。
クラウドファンディングという考え方も、なにかこういったところにもつながっていきそう。
こういった流れも、なにかここ30年で起きているエンターテイメントの楽しみ方の変化にも関係しているのかなと感じますね。
作る側の柔軟性
作品の内容自体ではなく、作品とその楽しみ方の変化というところがポイントで、この微妙な変化に戸惑いを感じるクリエイターも多いと思います。
それもなんかわかるような感じもしますしね。
では今後はどうなるのかというと、それはもちろんわかりません。
ただやっているとどうしても視野が狭くなってしまいがちなので、いかに広い視点で、柔軟な気持ちでエンターテイメントに向かっていけるかというのが鍵になりそうな気もしています。