ロックの神様というと、誰が思い浮かぶでしょうか。
まぁこのあたりは人それぞれかなとは思います。
V系バンドマンだとYOSHIKIさんと答える人が多数でしょうが、日本人だと他には忌野清志郎さんを挙げる人も多そうですね。
海外だとどうでしょう、シド・ヴィシャスとか、ジョン・レノンとか、ジミ・ヘンドリックスとか、いろいろいますが…
音楽史としてのロック
京都の講義では、古代ギリシャ、古代エジプトから中世のヨーロッパ、近代のアメリカと音楽の中心地が移動するのを追って時代ごとに解説していく講義をします。
その中でテクノロジーの話も織り交ぜつつやっていて、グーテンベルクの活版印刷とか、イギリスでの産業革命とか、もちろんコンピュータの発展とか、その中での音楽の成長を考えていくというのが、まぁざっくりいうところの『音楽とテクノロジー』という考え方です。
その中で、ロックの話もします。アメリカ音楽史は種類が多いので、触れるのはちょっとですけどね。
アメリカ史というのはなかなか興味深く、講義をやり始めたころはヨーロッパの西洋音楽を中心にやっていましたが、今はヨーロッパとアメリカを同じくらい時間を割くようにしています。
コロンブスのアメリカ発見から始まり、植民地の話、黒人奴隷の話、アメリカ独立戦争に、南北戦争、奴隷解放宣言と、華やかしいアメリカ音楽の背景にはけっこう暗い話が多いのも特徴です。
社会科の授業ではないですが、このあたりの話はしっかりします。しないと、アメリカ音楽史の意味が伝わらないからです。
ヨーロッパを中心とした西洋音楽の歴史よりも時代が近いからか、よりリアルに音楽の歴史を感じることができるような気もしています。
エルヴィス ・プレスリー
ロックの話といっても、ロックの歴史の話を追っていくというよりかは、その登場の話です。アメリカは今でこそ自由な国のイメージはありますが、昔は長い間人種差別の文化が続いていた国でもあります。
そんな時代の中、白人の音楽と黒人の音楽を融合させ、新たな時代を切り開いたのがエルヴィス・プレスリーです。政治や社会よりも先に音楽がその時代を切り開いたというのが、ロック史の一番興味深いところだなと思っています。
自分はロックミュージシャンという職業に就きながらも、実はそれほどエルヴィス・プレスリーについて詳しいわけでもありません。今知っていることは、全部あとから知識として勉強したことです。
ロックの歴史はそれほど長いわけではなく、ロックを勉強するという意味の解らない行為をするような時代に少しずつなっていったのかなということだろうと思います。
ぶっちゃけエルヴィス・プレスリーとかアメリカ史とか興味なくてバンドやってる人いっぱいいるとは思いますが、自分は気持ち的には知って、いろいろ考えることができてよかったなと思っています。
12月の年の瀬に、エルヴィス・プレスリーを聴きながら過ごすのもいいかもしれません。