名前に著作権はある?ドラクエ小説版キャラクター名訴訟を考える


これはスタエフ配信の文字起こしをブログ化したものです。

先日、ドラクエ5の小説版に登場するキャラクター名「リュカ」をめぐる訴訟について、控訴審でも作家側が敗訴するという判決が下されました。この裁判は、創作活動における名前の著作権について、重要な示唆を与えてくれるものだと感じています。

事の発端は、ドラクエ5の小説版と映画版の主人公名

そもそもこの訴訟は、ドラクエの小説版で主人公の名前が「リュカ」だったのに対し、後に発表された映画版では「リュカ」という名前が使われたことに端を発しています。小説版の作者が、無断で自分の設定を使われたとして、スクウェア・エニックスと東宝を訴えたのです。

ドラクエシリーズでは、ゲーム本編の主人公には名前がありません。プレイヤーが自由に名前を付けられるようになっているためです。しかし、小説や映画では主人公に名前を付ける必要があります。今回の争点は、その名前に著作権が認められるかどうかでした。

名前に著作権は認められない – 裁判所の判断

裁判の結果、名前には著作権が認められないという判決が下されました。

もし名前に著作権が認められてしまうと、「太郎」や「花子」といった一般的な名前はもちろん、「孫悟空」や「ロミオ」のような有名な名前も自由に使えなくなってしまいます。名前に著作権を認めると、創作活動が著しく制限されてしまうのです。

タイトルも同様に、著作権は認められない?

名前と同様に、タイトルの著作権はどうなのでしょう。「桜」や「愛」といった一般的な言葉をタイトルに使っただけで著作権侵害になるとしたら、表現の自由が脅かされてしまいます。

ただし、タイトルを商標登録することは可能です。商標登録されていれば、同一または類似の商品・サービスにおいて、同じタイトルを使用することは制限されることでしょう。

クリエイターとして知っておくべき著作権の知識

今回の裁判は、創作活動における表現の自由と、著作権者の権利保護のバランスを考える上で、重要な指針になったと言えるでしょう。

クリエイターの方は、この判決を参考にしつつ、キャラクター名やタイトルの付け方には注意を払う必要がありそうです。安易に有名作品と同じ名前を使うのは避けつつも、一般的な名前については自由に使えるという認識でよいのではないでしょうか。

いずれにせよ、著作権に関する知識は、クリエイターにとって非常に重要です。自らの権利を守りつつ、他者の権利も尊重できるよう、バランス感覚を養っていくことが大切だと感じました。