これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです。
「Googleは強すぎる。だから会社を分割しろ」――。
アメリカの司法省が、Googleの検索サービス市場における独占を問題視し、同社に対してWebブラウザ「Chrome」部門と、スマートフォンOS「Android」部門を売却するよう求めていた裁判で、大きな動きがありました。ワシントンの連邦地方裁判所が、この司法省の要求を「行き過ぎだ」として退ける判断を下したのです。
「強すぎるGoogle」問題とは
この問題の発端は2020年に遡ります。アメリカ司法省は、Googleが自社の検索サービスを有利にするために、市場での支配的な地位を不当に利用しているとして提訴。そして今年8月、裁判所はGoogleの行為が独占禁止法に違反するとの判決を下していました。
これを受け、司法省はGoogleの力の源泉となっているChromeとAndroidを本体から切り離し、売却すべきだと主張。もしこれが認められれば、Googleのビジネスモデルは根底から覆され、会社は大幅な弱体化を余儀なくされるところでした。
判決の裏にある「強いアメリカ」への回帰?
今回の裁判所の判断は、Googleにとって間違いなく追い風です。このニュースを受け、同社の株価は一時8%以上も値上がりしました。
なぜ、裁判所は司法省の要求を退けたのでしょうか。もちろん法的な解釈が第一ですが、僕はその背景に、現在のアメリカの政治状況も影響しているのではないかと見ています。
この「GAFA分割論」が活発化したのは、バイデン政権の時でした。しかし、現在のトランプ政権は、巨大IT企業を分割して弱体化させることよりも、「強いアメリカ」を維持することを優先する可能性があります。中国などのIT企業が猛追する中で、自国のトップ企業を弱らせることは得策ではない、と。そうした政権の意向が、今回の司法判断に何らかの形で影響したとしても、不思議ではありません。
戦いはまだ続く
もちろん、これで全てが決着したわけではありません。司法省は控訴するでしょうし、Google側も独占認定そのものに対して控訴する構えを見せており、法廷闘争はまだ続きます。
GAFAをはじめとする巨大IT企業のあり方を問うこの問題は、僕も長年注目してきました。今回の判断は、その流れを大きく変える可能性を秘めています。今後も、この巨大な戦いの行方をしっかりと見守っていきたいと思います。