10月10日はなぜ「体育の日」だったのか?東京オリンピックが変えた、日本の景色



10月10日はなぜ「体育の日」だったのか?東京オリンピックが変えた、日本の景色

10月10日。かつてこの日は、「体育の日」として国民の祝日でした。今は「スポーツの日」と名前を変え、ハッピーマンデー制度によって10月の第2月曜日に移動しましたが、多くの人にとって、この日付は特別な響きを持つのではないでしょうか。

「晴れの特異日」と、オリンピックの記憶

僕自身、この季節になると、母校の体育祭の記憶が蘇ります。秋晴れの空の下、大自然に囲まれた校庭で汗を流した、あの日の空気感。多くの人が、この時期に「運動会」の思い出を重ねるかもしれません。

しかし、10月10日が体育の日となった直接の理由は、運動会シーズンだから、というわけではありません。この日は、1964年に開催された、前回の東京オリンピックの開会式が行われた日なのです。

では、なぜ開会式がこの日になったのか。それは、統計的に「10月10日は晴れる確率が非常に高い」という、「晴れの特異日」だったから、という逸話が残っています。

オリンピックがもたらした、日本の発展

近年のオリンピックは、欧米のスポーツビジネスの都合上、夏に開催されるのが通例となっています。しかし、前回の東京オリンピックは、この過ごしやすい秋の季節に行われました。

このオリンピックは、単なるスポーツの祭典ではありませんでした。大会に合わせて、東海道新幹線が開通し、東名高速道路が整備されるなど、日本の交通インフラは飛躍的な発展を遂げたのです。

そして、その数年後には大阪万博が開催され、多くの人々が初めて新幹線に乗り、未来の技術に胸を躍らせました。東京オリンピックと大阪万博。この二大イベントは、戦後の日本が高度経済成長を遂げていく上で、非常に大きな役割を果たしたのです。

繰り返される歴史と、未来への期待

奇しくも、2020年代の日本でも、東京オリンピックと大阪万博が、ほぼ同じ間隔で開催されることになりました。もちろん、汚職問題や赤字問題など、様々な批判に晒されていることも事実です。しかし、おそらく前回の開催時も、同じような反対運動はあったはずです。

歴史は繰り返します。

今回のオリンピックと万博が、50年後、100年後の未来から振り返った時に、「日本の新しい発展のきっかけとなった」と語られるような、意義のあるイベントになることを、僕は心から願っています。