日本人は働きすぎ、なんて話もあります。
経済協力開発機構(OECD)がまとめたデータによると、2015年の段階で年間1719時間働いているそうです。加盟国35カ国のランキングだと11位になります。
ちなみに世界一人あたりの年間実労働時間は1749時間という統計もあり、そう考えると意外にもだいたい平均的です。
現在の日本はそこまで働きすぎではないのかもしれません。
しかし、別の統計もあります。
同じくOECDのデータで一人当たりの労働生産性はなんと22位です。労働時間に対して生産性があまりよくない、というのが日本の労働環境のようです。
昔の日本はヤバかった
今は年間1700時間くらいですが、なんと昭和35年は2432時間という労働時間でした。
これ、なかなかすごいですよね。今の1.4倍です。みなさん、今の1.4倍も働けますか?当時の人たちはそんなに働いていたのですね。
昔は毎日深夜まで残業、土曜日出勤なんて当たり前だったそうです。
どんな時代だったのか…想像もつきませんね。働きすぎなんて次元を超えているような気もしますけど。
週休二日制のススメ
今となっては学校も会社も週休二日が当たり前です。昔はたくさん働いていた日本でしたが、週休二日の概念を取り入れたのは松下幸之助です。パナソニックの創業者です。
働けばいいということではなく、労働は時間よりも質が大切だ、ということです。毎日夜遅くまで働くだけの社会では、今はよくても国際競争にはいずれ勝てなくなると考えたのです。
松下は「1日休養、1日教養」という考え方を提示しました。1日は体を休め、1日は本を読んだり映画を見たりライブに行ったり…というインプット、外部刺激を受ける時間にすべき、ということです。
これはバンドマンのようなアウトプット命の職業では特に大切なことで、良質なもののインプットは、たとえそれによって仕事時間が減ったとしても、仕事の質を高め、いわば生産性を上げることが可能になります。
現在の日本は週休二日の考え方は広まりました。しかし仕事の質は、先述の生産性の悪さから察するに、よくない状態にあります。週休二日で労働時間が下がると、その分給料も下がるという、都合のいい企業の給料減らしになってしまっただけのようです。
今の日本は松下の思い描いた労働環境とは似て非なるものなのかもしれません。
週休三日はありえるか
以前、ヤフーが週休三日制を提案し話題になりました。IT業界を中心に、働き方の考え方は変わろうとしているのかもしれません。
その一方で、完全な週休二日がすべての企業で行われているわけでもありません。
仕事のバランス、生産性、質、本当の意味での豊かさ…そういったことを個人が、社会が、どう考えていけるか、これが今の時代の課題ですね。
まぁ、みなさん働きすぎです。でも、誰のせいでもないんですよね。本当の豊かさとは、少ない時間でたくさん稼ぎ、多くの時間をのびのびと幸せに生きることだと思います。どれだけ収入が増えたとしても、世の中の全員が24時間365日のほとんどを仕事に費やす社会が健全な成長を遂げるようには思えません。その生活をするためには仕事の生産性、仕事の質というのが重要になります。
そういう意味では「1日教養」ってすごい大事なんですよね。別に本を読んだりライブに行ったりと文化的な1日を過ごしたところで、給料が上がるわけないじゃないですか。だから、どうしてもこの教養に注目が集まらないのもわかるんですけどね。広い目で見て、この「教養」をどうやって社会に取り入れていくか、ってのが、これから先の社会の成長に向けてのキーになっていくんじゃないかなぁ、と思います。
というわけで、1日休養ということで、たまにはライブを見に行こう!!