QUESTIONより
ヴィジュアル系用語ではなくて申し訳ないのですが、「箱推し」と「DD」の違いってなんなんでしょうか。 前者は受け入れられ、後者は叩かれますよね。そのラインってどこで引かれるものなのでしょうか。
アイドル業界で聞く言葉ですが、ヴィジュアル系業界ではあまり聞かない言葉ですね。
用語解説:箱推し、単推し、DD
箱推しというのは、そのグループ全体が好き、ということです。バンド業界だと箱はライブハウスのことを指しますが、ここではそうではなくグループを指す言葉です。現在のようにアイドル業界が活性化する以前よりあった言葉のような気もしますが、いつごろから使い始めていたのでしょうね。
アイドルもそうですが、スポーツでも中のメンバーってけっこう移り変わりあるじゃないですか。例えば自分はマリノスが好きですが、Jリーガーで誰が好きかと聞かれれば、中村俊輔選手と斎藤学選手と答えます。二人ともマリノスからいなくなってしまいましたが、それでも自分はなんだかんだでマリノスを応援するわけです。これについては自分でもちょっと不思議なところもありましたが、マリノスに対して箱推ししてるわけです。(この言い方が正しいのかわからないけど笑)
その一方で単推しという言葉があります。
特定の誰々が好き、っていうことです。以前、マリノスのサポーター仲間で別チームから移動してきた方がいましたが、当時の選手を追っかけてマリノスファンになったそうです。きっとその人は単推しなんでしょう。(同様にこの言い方が正しいのかわからない!)
ヴィジュアル系バンドでもしばしば(結果的にだけど)移籍するケースもありますよね。好きなメンバーを追っかけて別バンドに通う方もいれば、好きなメンバーを追っかけて別バンドに行ったものの、なんか思ってるのと違った…みたいなこともあるでしょう。楽しみ方はそれぞれです。こういったところに、グループとしての魅力と個人としての魅力の違いというのもありそうですね。
アイドルでいうところの単推しは若干ニュアンスに変化がありまして、複数いるメンバーのその特定の人だけが好きで、他のメンバーには興味がない、というニュアンスが加味される場合が多いです。
「推し」にはヴィジュアル系業界でも耳にする「二推し」もありますし、ヴィジュアル系業界ではあまりない「神推し」なる言葉もあります。こちらはその他のメンバーのことも好きだけど、一番推している人がとにかく好き、というようなニュアンスで自分は解釈しています。こういった言葉は時代によって多少変化もしますし、もし解釈違いでしたらすみません。
さて本題の「DD」ですが、これは”だれでも大好き”の頭文字をとってDDという言葉となっています。
DDが批判される理由
文字通り誰でも大好きなわけです。「箱推し」と何が違うのかというと、箱推しはグループが好きなわけで、DDは中の人はだれでも好きなわけです。そのグループに所属していれば誰でも大好き、という感じです。さらにはもうグループに関係なく、アイドルならだれでも好き!みたいなニュアンスも含むことがあり、そういったところが節操がないと思われ、しばしば批判の的となるわけです。
ちなみにDDが悪い意味で使われるようになってからMD”みんな大好き”という言葉も登場しましたが、これもDDと同じ意味です。DDは一般的にはアイドル業界で使われる言葉ですが、言葉はなくとも、ヴィジュアル系業界でも同じようなこともあるのかなぁとちょっと思ったりも。
いろんな楽しみ方がありますし、業界全体に興味を持ってくれるってのはいいことだとは思うんですけどね。ただ、単推しの方があれこれ好き好きというDDの人に対してなんだこいつ、と思う気持ちもわからないでもないです。
ちなみにこれまでのブログや言動などを追ってくれている方はきっと気づいているでしょうが、彩雨さんはDDです。女性アイドル、ジャニーズ、メンズアイドル、男女問わず声優さんのユニット、さらには韓流、LDHやヴィジュアル系と…まさに誰でも大好き、っていうか「どれでも大好き」って感じです。
一番批判されそうなやつですね。
でも楽しんでますよ。
「推しは変えるものではなく増やすもの」って言葉もあります。これからも好きなものをどんどん増やしていきたいと思っています。
とはいえ、もちろん繰り返しになりますが、楽しみ方はそれぞれです。
それぞれがそれぞれの楽しみ方を尊重できるようなエンターテイメントであってほしいなと思います。
作り手側に立って
そんな彩雨さんも、エンターテイメントの作り手側で仕事をするようになって、おかげさまでもうずいぶん長くなります。子供の頃はただ無意味に好きだったものも、作り手側の視点から見るようになり、いろいろ気づくことも多いです。
こういったエンターテイメントは生活必需品ではありません。それに医療、さらには食品や自動車など機械類は重大な欠陥があればユーザーの命にも関わることですが、エンターテイメントはそういうわけでもありませんよね。
生活必需品ではないからこその、こういった業界はまさに「愛」と「熱」だけで成り立っているなと感じることはたびたびあります。これはもちろんファンのみなさんの「愛」「熱」だけではなく、作り手側のそれも含みます。もちろん事務所やレコード会社も含めてです。
こういった多くの「愛」と「熱」が合致した瞬間に、二倍、三倍とそのエネルギーが増大していきます。一方通行のごり押しだけで、なんでもうまくいくわけではない、というところがジャンル問わずエンターテイメント業界の不思議なところであり、面白いところであるなと感じます。
まぁ最後脱線しましたが、以上が「箱推し」「DD」のお話でした。みなさん、それぞれのスタイルでエンターテイメントをおたのしみください。