今ではすっかりA型、B型、そして新型インフルエンザというのも当たり前のようにみんなかかりますし、薬もあるので、簡単に治る病気となりました。
ですが、この新型インフルエンザ。登場したころはまさに未知の病気でした。
パンデミックを経験した世界、あれから10年
始まったのはメキシコです。2009年の2月のことでした。
高熱といったインフルエンザの症状と一致し、翌月には村の6割の人間が感染しました。
この新型インフルエンザは、豚経由で人間に突然変異し感染するようになったもので、最初は豚インフルエンザとも呼ばれていました。
そのあと、アメリカでも感染者を出します。このあたりで危険性が認知しはじめ、政府やWHOが対策にでます。
4月は世界もこの対応が早く、メキシコへの航空機を停止する国もあったほどです。日本でもアメリカやメキシコ、カナダから到着する飛行機の搭乗者全員を検疫するなど、対策を進めていました。
少しでも具合が悪い人がいたら、その人間だけではなく近くにいる人すらも隔離するほどの対応で、テレビでも連日報道されました。
まさしく異様な事態です。
しかし5月には世界中で感染者がでてきます。どれだけ注意をしても潜伏期間もありますし、完全に抑え込むことはできません。香港では感染者がでたホテルの客、従業員を完全隔離するといった措置もあり、パニックは広がります。
日本でもこの5月に感染者があらわれます。
そしてちょうど10年前の6月11日(日本時間6月12日未明)に、WHOがついにフェーズ6であるパンデミックを宣言します。以前あったSARSもかなり問題になりましたが、その時でもパンデミックは宣言されていません。近年ではこの新型インフルエンザ以外ではパンデミックはありません。
日本国内でも新型インフルエンザは広がっていきます。摩天楼オペラの当時のローディも新型インフルエンザにかかっていたのをよく覚えています。
翌年の2010年の夏にWHOは終息宣言を出します。
有効なワクチンの製造が間に合わず、それもまた世界中で恐怖心を増してしまった原因ともなりました。
実は普通のインフルエンザくらいだったけど
世界中で数千人の死者を出したものの、病気そのものとしての脅威は普通のインフルエンザと変わらないくらいでした。
薬を飲めばすぐ治るし、飲まなかったとしても確実に死ぬような病気でもありません。
WHOは弱毒性であることを認めながらも、世界的な流行があるということでパンデミック宣言を行いました。
このことについてはその後多くの議論がなされており、現在はWHOもパンデミックの基準を過去のものから変えています。
とはいえ、突然変異することでさらに致死率の高い病気が10年前のように拡散していく可能性もあります。
恐ろしいパンデミックが起きないことを願うばかりです。