イランでサッカー観戦をした女性が逮捕され、焼身自殺をするという出来事がありました。
イランでは女性は生でサッカー観戦(スポーツ観戦すべて?)をしてはいけない決まりになっています。
日本で暮らしているとイメージがわかないことで、いったいどうなっているのか、と疑問を持った人も多いことでしょう。
ところ変わればルールも変わるということで、いったい何が起きたのかこれを機に考えてみましょう。
イスラム教、女性、スポーツ
今回の出来事キーワードは、イスラム教、女性、そしてスポーツです。
みなさんもなんとなく知っているでしょうが、イスラム教はいろいろと厳しい決まりごとが多い宗教の一つです。
といっても、イスラム教にもいろいろ宗派がありまして、物によってもこの厳しさは異なるようですけどね。
1970年代後半のイラン革命によって、イスラム教やルールについていろいろと変わり、厳しくなってきた経緯があります。
イスラム教では、女性は肌や髪の毛を隠さなければならないことになっています。この理由は女性がどうこうというより、肌や髪の毛を見て男性が欲情し襲われないように、という考え方のもとに成り立っているようです。
これと同じ理由で、女性がサッカー観戦をしてはいけないというルールが同じくイラン革命以降できたわけですね。
他にも車を運転してはいけないなど、いろいろなルールがあります。
スポーツに話をもどしますと、同じ理由から女性のスポーツ参加についてもかなり慎重です。中東の女性選手は他の国に比べると極めて少ない理由がこれですね。
FIFAなど多くのスポーツ協会はイスラム教のルールに合わせるよう規則などを変え進出について柔軟な姿勢を示しているものの、もう少し時間がかかりそうです。
ちなみにサウジアラビアはこういったルールについては寛容な方向になっていまして、少し前に女性が初めてサッカー観戦をした、というのが報道されていました。
ちなみにこのサッカー観戦ですが、じゃあイスラム教じゃなければいいのかというと、そうではありません。
これは日本人でも同じことがあてはまります。
イランにある日本大使館は、サッカーの日本イラン戦に関して、このようなアナウンスをしていました。以下抜粋です。
2 服装
イランでは,男女が同席してスポーツを観戦することが認められておりません。今回のW杯最終予選では,一般席については男性のみ観戦が許されていますが,日本人専用席に限り,男女同席の観戦が認められました。服装に関する留意事項は次の通りです。
【女性の方】
(1)丈の長いコートを着用し,肌の露出を避け,体の線が出ないようにして下さい。
(2)足首が露出するおそれがあるため,スカートは避け,パンツをご着用下さい。ジーンズは可です。
(3)スカーフ(ヘジャブ)を必ず着用して,頭部を覆い,髪を隠して下さい。
(4)コート及びスカーフ等は必ずしも黒色である必要はありませんが,なるべく地味な色を選ぶことが無難です。
(5)これら注意事項は,飛行機の外に出る時点から守っていただくようお願いします。ホテル内(自室以外の場所),レストランやバスの中も公共の場と見なされ,同様の規律が適用されますのでご注意下さい。
(6)競技場内の日本人専用席においては,イラン・サッカー協会によれば,日本代表のチームカラーである鮮やかな青色の服を着用しての応援は問題なく,スカーフの色も問わないとしています。ただし,体のラインは出ないように留意して下さい。なお,半袖シャツを着る場合には長袖のシャツを重ね着するなど肌が露出することを避けるようにして下さい。
【男性の方】
(1)短パンの着用はしないで下さい。また,サンダルなどの肌の露出の多い服装は避けて下さい。
(2)上半身裸になるなど,肌を露出する行為は避けて下さい。
郷に入っては郷に従え、ということで、これはどんな理由があろうとも守らなければなりません。
国際世論とイスラム教
女性蔑視ではないか、と国際世論は感じるわけです。
少なくとも、今回のサッカー観戦からの焼身自殺であったりというのはなかなか象徴的な出来事にはなってしまいました。
これについてはいろいろな意見があります。
グローバルスタンダードということで、やはり国際的な動きに合わせていくことも大事ですし、他の国がどうだからといって自分たちの国が合わせる必要はない、という考え方もあります。
同じサッカーファンとしては今回の出来事はとても残念なことではありますが、他国の宗教や文化、考え方についてあれこれ外から口を出しすぎるのもちょっと違うかな、というのが自分のスタンスではあります。
とはいえ、難しい問題ですね。