ここにきて、一律10万円給付の路線が浮上してきましたね。
以前にも一律五万円給付という話が浮上しましたが、そのあとすぐになくなってしまいました。個人的には秋以降に景気刺激という意味でのなんらかのバラマキはあるかなと思っていましたが、さすがの世論の反応もあったのか、このタイミングでの急浮上となっています。
稼いでいる人へ給付金を渡す意味はない?
まず前置きとして、稼いでいる人にも10万円を渡すのか、という話があります。これについては、以前のブログでまとめていますが、別に稼いでいる人に渡したっていいんです。
麻生財部大臣は10万円給付は欲しい人だけにする、という旨の発言もしているそうで、どのように給付されるかはまだ決まっていません。そもそも給付されるのかどうかも含めてなにも本決まりではありません。(17日14時現在)
麻生さんは首相時代にバラマキをやっている人ではありますが、その時によほど嫌な思いでもされたのでしょうか、一律給付については前向きではないような印象がずっとありますね。
電子マネーでやる、という話も?
経済同友会のコメントで電子マネーで給付、というのが大きく取り上げられ、話題になっています。
かなり多くの反対意見がでていますが…
実は自分も常々、こういった政府からの給付に関しては、ベーシックインカムや生活保護を含め、電子マネーの活用はとても効果的だと思っています。今年の秋から、キャッシュレス政策とマイナンバー制度を絡めたマイナポイントという新しいポイントサービスが開始されます。国が発行するポイントのようなものです。
電子マネーといってもSuicaなどではなく、この国が発行するポイントで給付する、という仕組みです。ワンタッチで漏れなく国民一人に10万円を給付することが簡単にできます。国民はそのポイントを自分の好きなキャッシュレスサービスにチャージする形で利用することができます。
もちろん政府が国民の銀行口座を把握して、そこに振り込む方法もありますが、実はそれでも電子マネーのほうがいいなと思っています。
電子マネーですと、政府としては実際に使われた分のお金を払うことになります。しかし振込ですと、振り込んだ瞬間にお金を払うわけです。要するに、民間銀行の総預金残高を増やすか、政府のプール金額をキープするか、どちらがいいかという話です。
もちろん前者にも意味はあって、民間銀行の手持ち金が増えれば、そのお金を企業に貸して社会にお金が流れるということも期待できます。ただ、給付金以外の補償も並行してやることを考えると、こういうときはプール金はたくさんあったほうがいいのかな、と思うわけです。
これはスターバックスなど多くの企業が顧客にポイントを買ってもらって、それを電子マネーのように使う仕組みを導入しているのと同じ内部留保をキープするための方法論です。
電子マネーは貯蓄しない、は本当?
今回は電子マネーのほうが貯蓄に回らない、というところからその話になっているようですが、それについては、自分も昔は現金よりも電子マネーのほうが貯蓄に回りにくいかな、と思っていた時期もありました。
しかし昔の地域振興券のように、10万円分の電子マネーになったとしても、それで結果使わなかった10万円のキャッシュは貯蓄に回るだけなので、あまり関係ないのかもしれません。
家賃が払えない!キャッシュレス推進が遅かった弊害
もともと日本はクレジットカードの保有率が世界の中でも高い国でした。今でこそ現金主義といわれる日本ですが、意外にもクレジットカード文化は根付いていたのです。
Suicaが日本に登場したのは2001年のことです。それ以来、多くの人がSuicaのような交通系ICカードを所持し、電子マネーに触れる生活をしています。
クレジットカード、そして電子マネーというキャッシュレスが浸透する条件がこれだけ揃っているのにも関わらず、この20年間、キャッシュレス推進がとにかく遅かったというのが日本の特徴です。
理由もいろいろあるでしょうが、これまで通りのやり方で生活になにも問題がなかったこと、そしてなんとなく変化するのが怖かったことがあります。政府のキャッシュレス政策も進めるのが遅く、オリンピックのタイミングで急にやっていたような印象です。
そもそも国民が日常的に困窮してるわけでもなかったので、政府による莫大なキャッシュレス還元も残念ながらそこまで効果もなく、東京オリンピックを経て海外は当たり前のキャッシュレス使ってるでしょ、というのを期待したかったのかもしれません。
もしこの20年間、クレジットカード保有率が高い日本で、キャッシュレス推進がもっと進んでいたら、今頃は老若男女問わず電子マネーを利用していたことでしょう。そして政府発行の電子マネーも早くに登場させるべきでした。
そうなれば、もっと多くの店舗で電子マネーが使え、家賃や光熱費などの支払いにもそういったものを使えたことでしょう。そしてなによりも、政府が思い立った直後にはポイント給付という形で、国民一律の現金給付が行えたかもしれません。
今回の騒動は、コロナのせいでこうなっているというよりかは、これはコロナがあぶりだした社会問題の一つです。
今後も震災とかテロとか戦争とか、これからも緊急事態は必ずやってくるでしょう。その時にまた同じように一律給付が遅い!とかで問題にならないよう、今回のコロナ騒動をきっかけに政府主導の電子マネー政策と社会全体のキャッシュレス化を積極的に推し進めるべきと考えています。
とはいえ実際問題、どうやってやる?
とはいえ、現実的に考えるとどうでしょうか。少なくとも、政府主導のポイントサービスが始まるまで待つと、ちょっと時間もかかりそうですね。せめてこのコロナ騒動があと1年遅ければというところですが。
10年前に行われた定額給付金のときは、郵送を使って本人確認を行い、振り込みかもしくは窓口での給付でした。しかし、それは時間と手間はかかりそうですね。
こうなってくると、やはり銀行口座とマイナンバーの紐づけに関しても進みそうですね。じつはこれ、もともと2021年には紐づけを義務化する方針となっており、どのみちやる流れになっています。
もうすでにカードを発行している人はすぐできますけど、予約番号だけの状態でこれができるのか、住民票と居住地が違う人に、この緊急事態宣言がでている状態でどう対応するのか、5月中になんて話もありますが、さあどうやってスピーディな給付を行うか見ものです。